佐賀北優勝、一番喜んでるのは高野連か 

・特待生問題に揺れた今年の高校野球界で、女神が微笑み、栄冠に輝い
  たのは「佐賀北高校」だった。

・大観衆を見方につけた佐賀北、広陵のエース野村は不運にも大歓声に
  のみ込まれる。

・公立校で特待生がいない佐賀北の優勝を一番喜んだのは、佐賀北自身
  でもなく、地元の佐賀でもなく、日本高校野球連盟かもしれない。

■第89回全国高等学校野球選手権大会
▽決勝
 広 陵(広島)020 000 200=4
 佐賀北(佐賀)000 000 05X=5


 
 三重県出身の知り合いは、宇治山田商が延長引分け再試合で、佐賀北に敗れて
から熱烈に佐賀北を応援、それにつられてワシもいつのまにか、勝ってくれと思
うようになっていた。

 広島の名門広陵との決勝、広陵の中井監督は勝ちたいと、本音を言っていた。
その広陵は7回2点を追加して4−0とした。7回裏も佐賀北は無得点。
広陵のエース野村から放った安打はわずかに1本だけ。

 さすがに広陵の総合力には勝てないのか、7回終了してテレビを消そうとした
時、さきの知り合いからメールが入る。「佐賀北はこれからだぞ、スタンドも審
判も見方するぞ」、スタンドの観衆の見方は分かるが、審判とは何だ???

 8回裏一死から、3回以来となる2本目の安打がでた。三塁側を中心に観衆の
雰囲気が一変する。広陵の投手野村をスタンドがのみこむ。

 いままで低めに決まっていた球が、ほんのわずか外れる。ストライクに見える
がボールのコール。審判ものみこまれたか、押し出しの四球で1点を失う。

 広陵の捕手小林がミットを地面に叩きつけて悔しがる。これがすべてだった。
その直後、スタンドの大歓声が手拍子に乗って、佐賀北の打者副島にのりうつる


 低めに決まっていたスライダーが、たった1球だけ高めに浮いた。
野球の女神はフルスイング、大歓声を従えて副島の打球はレフトスタンドにすい
込まれた。

 13年前も、今回と同じ開幕戦に登場した佐賀商が、勝ち越し満塁本塁打で
決勝を制した。

 同じ県から出場した県立高が、同じ様な軌跡で全国の頂点に立った。

 創部97年目、選抜大会では3度優勝の広陵に、夏の大優勝旗は遠い。

 佐賀北の野球部室のそばには、「ピンチの裏側」と題する掲示板が掲げら
れている。ピンチの後にはかならず、ピンチ同じ大きさのチャンスが回ってくる。
そのチャンスを信じて、ピンチを乗りきろうと言う内容だ。


 県立高、進学校、専用グランドは無い、照明設備は無い、雨天練習場は勿論無
い。そして特待生などいない。野球部の予算は年間60万、今回いくら請求がく
るのか怖いそうだ。

 そんな学校が、開幕戦を制し、延長再試合、延長サヨナラ勝ち、決勝逆転満塁
本塁打という劇的ドラマの仕上げをした。

 高校野球ファンの心をつかみ、全国の普通の高校球児を勇気づける優勝だった。




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